※前日のつづき


▼様々なアプローチ
では、全ての書店が無為無策に流されていったのか、というと、そうではない。問題意識を持った書店もあった。

・ケース1…大規模書店化
多くの本を置くことで集客性を高める。多様な本は、様々な肩書きの人を集める。また、本を選ぶための環境を充実させ、客単価を高める。

・ケース2…個性化
単純にフロアの広さでは争えないなら、コンテンツを特化させて独自色を出す。地域密着情報の本の店、ビジネス本のみの店、並べる本にニヤリとするセンスの光る店。通好みの店。

・ケース3…リアル店舗にこだわらない
いわゆるオンライン書店。Amazon、bk1、bolなど。なかにはクリック&モルタル形式も。商圏を限定せず、商品も幅広い。立ち読みできない代わりに、レビューを充実させるなどの工夫が光る。

▼展望と私見
本が紙媒体である必要はあるのか。「本とコンピュータ」誌で長らく議論されてきた点である。テキストデータ化してモニタで見る。青空文庫サイトで示されている一つの提案である。しかし、課金とコピー対策、そして各社の利権で躓く。読むためのデバイスの有用性も甚だ疑問が残る。

髪の在庫を持たずに、注文の都度、印刷するオンデマンド出版はどうか。これも手間がかかる。基本的に1人のために印刷することは、個人向けプリンターが普及してきたとはいえ、書店がそのつど対応するのは難儀だろう。単価も高くなる。利益をあげられるほど需要があるかも疑問がある。たのみCOMなども一つの手段であるが、「これは出せば売れるのに!」などという無責任素人のデマゴーグによる被害も実際出ている。

オンライン書店も先行投資額の割に、現段階では厳しいと言わざるを得ない。書籍流通にしめるシェアは1%以下である。手を広げすぎたAMAZONの例もある。本と読者とのディスタンスもまだ縮まらない。データベースの役割の段階から抜け出せない面もある。

個人的には、私は電車内でつり革に掴まりながら読む時間が好きである。片手で持つため、折り曲げることもある。気になった点をその場で書き込める。ページをめくり、読むことの充実感も味わえる。紙ならではの利点があるからだ。

家に帰ればPCとモニタの電源を入れ、WEBからのテキストデータを閲覧する。PDAに落とし込んでそのまま読んだり、必要な分のデータとしてカットして活用することも出来る。新聞などの「すぐ捨てる情報」などはデータの方が扱いも処理も便利だと考えている。

思うに、アナログ、デジタルとも私は利用するし、棲み分けは十分可能だと考える。公園のベンチに寝っころがって読むなんて、紙でないと味がないし不可能だ。電池切れの心配をしながら見るなんてのもナンセンスだ。VIAVOICEの応用で、データ化されたテキストなら、目で読む必然性も無くなるかも知れない。色も形も重さもないデータなら、ナップザックに代わりにビスケットを詰めることも出来るだろう。

あくまでも、出版社側の事情から考えるのではなく、利用者側の視点を忘れないことではないだろうか。使う人がより幸せになる方法論を、模索するべきではなかったか(もうタイムオーバーかもしれないが)。プログラムではBOOKOFF社長の消費者の利益に貢献している、とのコメントもあった。確かにかの店があれば新刊書店の売上は落ち込むだろう。しかし、今まで競争がなかった業界、どの店に行っても同じ本しか平積みされていない状況を見過ごすわけにはいかないのではないか。そんなことを考えさせる60分であった。

ちなみに、番組のセンスに感服したのは、スタッフロールでした。登場した書店店長、スタッフ、の紹介に、その人が好きな本の名前が添付されていたのだ。おおお!、と来ました。番組中で興味を持った人について知りたいと思ったら、その本も読みたくなる。本を愛する気持ちに溢れた終わり方だった。ネット系雑誌でも、「有名人のブックマーク」特集があるし、フィーリングのあった芸能人が好きなサイトなら見てみたいと思う。そんな作用を応用した(と私は思っている、元ネタを)つくりに、敬服して、ここまでキーボードを叩いた次第です。


今回も長くてすいません。最後まで読んでくださってありがとうございます。今回、3000文字でした。

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