シゴトは組織名や肩書きでもなく、「誰がするシゴトなのか」、とゆー当たり前ながら語るに易く行うに難しな真実。

魂込められるシゴトに巡り合えて、魂注入した結果を残せる数なんて、どれくらいあるだろう?

「迷いがある証拠だよ」なんて、気軽に中間結果を出されても…。きっと、何かの途中、ゴールはどこだよ?、そんな一人つぶやきの連鎖。

間違いないのは、制約ある中でカタチや確かな手がかりをシゴトに残していくこと。確信なんてないからそう信じてるだけだけどね。

未熟なヤツも馬鹿正直にやるしかないヤツも。突き抜けた後に維持していく辛さに耐えていくヤツも。

「借りたコトバ」を口走ったあとで、急に具体性を帯びた決意が芽生えてきたりして。ゴールに近づく動力は気迫だったりして。借主にワタシの居場所を認めてもらったような気がしたりして…。

読むだけで体温が2℃上がる、対角線上に交差する2人のオトコノコの戦いを描くコミック。

■漫画家うめ
「難民チャンプ」
http://blog.chabudai.com/

ISBN:4344810813 コミック うめ 幻冬舎コミックス 2007/09/22 ¥620
◆ある義体の日常(GUNSLINGER GIRL 7th)。◆
 ハイティーンな義体「ペトルーシュカ」が加入して、大人びた雰囲気を醸し出した第7巻目。

 それまでは“お姉さんキャラ”としてトリエラがおりましたが、あくまでも公社に所属する幼げな義体にとっての“お姉さん”的存在でありました(相対的お姉さん!?)。

 作戦担当官と信条について意見を交換する場面や、身体的にアダルトな表情を見せる場面を初めて見せたり、と作中で新たなポストの創設を成しています。

 義体を初めて「個」として見詰める担当官アレッサンドロ。信頼感の萌芽を認めるペトルーシュカ。「…そんなことないですよ、私は情熱を感じました」の後のワンカットは上記の象徴的で重要なカットだと感じました。

 がきんちょ義体の登場をわざと控えつつ(ほんの一部出てくるが、幼さの象徴として用いていたり!)、「オトナじゃない、子供でもない、お姉さん」に焦点を絞って1巻に纏め上げられています。なんかもーコミックスの構成力に驚き感嘆符でありますよ。

 良くも悪くも、成長が止まってしまっていたように思われていたクラエスを会話のパートナーに当てはめたのもナイス人選♪彼女も過去の不可視なトラウマから、一歩踏み出せそうな予感〜。

ISBN:4840235325 単行本 相田 裕 角川(メディアワークス) 2006/07/27 ¥578
 あぁ、超どうでもいい、くだらねえ…(良い意味で)。
「良い意味で」の用法が便利すぎる(或いは誤読を含む)のが自分でも気懸かりですが、ナナメ↓向きに笑みがこぼれてしまいます。

 道化役かつ唯一のツッコミ役な主人公(オトコなのに…?)と、イトコで変な方向に萌えている女の子。ほか、やはり変な個性の登場人物たち。ハイ、どうでもいいですね。ここまで設定で異次元を作られてしまうと、諦めて笑うしかありません(本能に忠実)。

 自虐的なレビューになってますが、まさにその通りで裏表なし(ただし、確かにエンタに徹していて面白いことは保証済み)。よもや東京のTV局の地下で、失踪したエキストラが大量のナース服を作っているとは誰も思うまい(当たり前だ)。

 まぁそんなテイストで占められているので、家でこっそり読みましょう(電車の中はキケンだ!)。メインの連載で真面目なモノを描いている反動で異次元テイストを描いてしまう、というのは篠房六郎氏とも似ているかも。

■塩野 干支郎次氏blog
http://es01.cool.ne.jp/blog/

ISBN:4785926279 コミック 塩野 干支郎次 少年画報社 2006/03/27 ¥550
「空が好き」

、には経験則からして2パターンあると思う。

(1)青空と雲の、淡いグラデーションが好き
↓例えば『Sky Crawler』みたいな。
http://images-jp.amazon.com/images/P/4120031586.09.LZZZZZZZ.jpg

(2)満天の星空が好き
↓勝手リンクですが『blog:ベランダからの星空』(謝々)
http://borg-gpd.way-nifty.com/bj32l/

 …どちらも宙を仰ぎ見て目に映るものにぼんやりと何かを想像を投影させる、のが共通解(傍目の動作は異なるものの)。

 昼間芝生に横になって、ぼぉっと仰ぎ見る。自転車でかなり遠くまで来てみたためか、足の血流はホットなのだけれど。少しづつ形を変える雲を眺めているとやたら落ち着いてしまって、アレヤコレヤの想像をしてしまったり。

 夜は夜で…と思い返りましたが、住宅地では一等星しか見えなかったりします。深夜帰宅になったある冬の日、帰路の坂道を登りながら視界に入るオリオン座。徐々に毎日角度を変えていく姿に「今日の相棒」的な親しみを感じてしまったり。

 …宇宙に飛び出すロケットの話とか、地上から星々にあこがれる想いであるとか、そんな属性持ちらしいです(ワタクシ)。

 基本は店頭面陳でのひとめぼれ。天体観測の行為自体が「静」であるためか、ストーリィ自体はBoy Meets Girl系のハイテンション。ヒロインの美星よりも、サブ扱いの蒔田の方が魅力を感じるような(餃子の方がおいしいラーメン屋さん状態?)。おそらくこれから影の部分に焦点が向けられ、深みを増していくのだろーか(想像、アフタヌーン誌読んでません)。

 月刊誌ベースなので次巻発行は先かもしれないけれど、チェックしていこうかと思います。結構アリだと評価してます。まずはカバーを外せ!(それからレジへ!)。

■作者:柏原麻実さん
http://members.jcom.home.ne.jp/mmk1999/

ISBN:4063144178 コミック 柏原 麻実 講談社 2006/06/23 ¥560
「え〜!!」

 絶叫と共に画面を注視してしまう。あれまぁ、「鋼鉄の少女たち」1〜4巻絶版決定、5巻無期延期……。そりゃ掲載誌なくなってしまったゴタゴタに巻き込まれてしまったなら、仕方ないのかもしれないのだけど…。

 来週のコミケにて、最終話を頒布するそう。2005/08/14(日)、時間つくれるかなぁ…?
http://www.firstspear.com/

 …と。外野の状況はともかくとして。戦略的に負け戦な雰囲気が全体的に影を落とす中で、泥沼、絶対的ピンチにありながらも奮闘する戦車舞台が描かれています。搭乗員はコンパクトな戦車のせいで全員、年端もいかない少女たち。狙撃を受ければ肉隗にもなるし、捕虜になれば屈辱も受けてしまう。

 現場の人間の及ばないところで政治劇は垂れ流され、より現場は悲惨な戦況を強いられる。暗雲たちこめる日常のなかで、時折垣間見る陽射しに心休まるように。少女たちは一瞬一瞬の生のきらめきを見せる。その笑顔も、地獄の戦場で1人、また1人と戦死していってしまう。名前も与えられない一般兵が合計何人亡くなった、という統計的な死ではなくて、ついぞさっきまで名前で呼ばれていた兵卒が「大切なもの」を叫んで亡くなっていく。コミックの世界とはいえ、無力感を感じてしまいます。

 "生と戦争"をモチーフにしたコンセプトに比べて、もう少し書き分けて書き込んで欲しい、と思う箇所はあります。けれど、鉄の箱に命を預けた息遣いの荒さを表現したのは秀逸だと思う。

 「国vs国の戦争」から「国vs草の根」にシフトしつつある現実世界では、戦車という装甲と突破力が求められる戦力から外れてきています。それでも…力強い砲塔と、肉厚な装甲。等閑に出来ないものがあるかも。戦車好きには懐かしさに反応するセンサーが内蔵されてるのですって。

ISBN:4047135399 コミック 手塚 一佳 角川書店 2003/02 ¥567
■「TOKYO WAR MOBILE POLICE PATLABOR」

 なぜか涙がでてきた。空自の防空システム上で同じ自衛隊の戦闘機
"ワイバーン"を撃破する指令を出さざるを得なかったとき。苦渋の選択を迫るシチュエーションと、張り詰めた"戦争状態"がそうさせたのか…。

 この書籍のもとになった文庫本が発行されたときは、飛行船につまれた「状況、ガス!」をオウム真理教のサリン事件と揶揄されたものだった。が、今になって見詰めなおしてみるとイラク派兵の意義、遠い国で起こる他人事の戦争、など再評価に値する事項が散りばめられています。

 映像化された映画版と比べると、よりメインキャストの後藤、荒川の駆け引きを掘り下げて描写されています。恩の貸し借り、先、更に先を読む謀略。映画では一瞬で描かれるものを、意味合いを込めて実感するようになりました。

 そしてもう一点の特徴。それは……!、異様なまでに飲み食いのシチュエーションが多いこと。店の薄汚れ加減や、料理のシズル感、唾液が飛び散る様まで、じっくりと書き込まれています。もはや押井氏の執念が伝わってくるようです。

 擬似的な"戦争状態"を演出しつつある状況。軍隊が個の兵隊の単位で瓦解していく状況。テレビゲームにリアルさを感じ取るのと似たタイプの切迫感に目が離せなくなってしまいます。最終局面でストーリィテラーの後藤が、極限までリアルさを伴った虚構を看破する台詞は深く読者の記憶に残るでしょう…。

 押入れからDVDを引っ張り出して、もう一回観てみたくなりました。逆に、映像が頭の中に入っていない人が読んだときに、どのような反応を示すのか。ちょっと興味深いコトかもしれません。

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ISBN:4757723660 単行本 押井 守 エンターブレイン 2005/06/30 ¥1,785
 近頃土日はチャリンコな生活をしているのですが、梅雨入りで一休みな感じ。で、専ら昼休みにスポーツ店に赴いて自転車パーツを眺めて唸っております。日曜大工レベルの腕で改造できることは限られてますので、サドルやグリップなど「取り替えるだけ」しか行っていないのだけれど…。目的のためにはもう少し、手を入れたいと(と密かに?)。

 折りたたみタイプの自転車を購入する人には、それなりの理由があると思う。見聞きしたとある事例では…

(1)都心の通勤の足として
(2)輪行用途として
(3)収納スペースの制約のため

 (1)の事例で興を覚えたのは、省スペースになったとしても、必ずしも通勤手段の一つとして既存の通勤手段(例えば電車通勤ね)に取り込めない、ということでした。満員電車になりがちの路線では、必ず座れる駅からでないと持ち込み難い。その上座って足の間に収めることが出来ないと他の乗客に迷惑をかけてしまうこと。さすがに網棚に乗せるわけにはいきませんからね…。

 そんなわけで、ペダルを踏んでいけるところまで行って、疲れたら電車で勤務地までGO、という理想はなかなか実現しづらいご様子です。乗り換えなしで勤務地まで通える、家賃の高いところに引っ越す…その選択肢しか都心ではないかもしれません。

 一度チャレンジしてみたいのは、土日の電車が空いているときに皇居のお堀の周りをのんびりサイクリングすること。ネックとなっているのが「ペダル」。専用の収納袋に入れるのですけれど、ペダルが横に突き出て他の方に万が一のことがない、とも云えません。なので軽くて折りたためるペダルをただいまサーチ中。自転車の総重量はレジ袋に両手に詰め込んだくらい(10.5kg程度)なので、駅内の移動ももう少し改善の余地があるかもしれません。

 まだまだこの分野では初心者なので、行政にいちゃもんつける程には要望はないのだけれど。「COOL BIZ」に力入れるのであれば、同じく省エネ、二酸化炭素排出抑制、の目的を共有する自転車というアイテムに脚光を当ててもらってもいいのでは、と考えます。拠点内移動(A地点の周りをぐるぐる)の用途がこれまでの政策だとすれば、これからは拠点間移動(A→Bへの移動)も担う助力も十分こなせるアイテムなのですよね、折りたたみタイプって。

 公園や河川敷だけでなく、街中でこそ映えるものであって欲しい。そんな微かな希望を抱いてみたりするこの頃。

ISBN:4777801411 大型本 辰巳出版 2005/04/23 ¥945
 あるアイテムが、ふとしたとき、人生に影響を与える役割になってもいいはずだ。悩みを解消してくれるものになったり、決断を後押ししてくれるものであったり。はたまた近しい誰かの心を打つ機会になることだって、あり得るはずだ。

 美大出身のある友人は、『人間をテーマにした卒業制作』が与えられたとき、人間そのものをオブジェクトとして製作するのではなく、『イス』(正確には車椅子だったが)を作ることにしたと云っていた。座り心地、体重を安心して持たれ掛けさせられる背もたれ、リラックスの象徴である肘掛、等々、人間を描くよりも人間の存在を表現できる題材だから、と説明してくれた。

 あくまでも主人公は人間。人間が絡むからこそ、そのアイテムが光り輝く。そんな原則を記憶からアーカイヴさせられました。そんな今回のアイテムというのは…

 『自転車!』

■「並木橋通りアオバ自転車店」(宮尾岳氏著)

 自分がプジョーの折り畳み自転車を購入したのはこのコミックを初めて手に取るより前だったのだけれど、街中で自転車に向ける目の価値が大きく変わる契機となるものでした。

 作者の自転車に向けられる眼差しは暖かく、優しさに溢れていることが全体から醸し出されています。人間がまたがってペダルを回すことに「和み」を感じてしまうなんて、滅多にないことではないでしょうか。

 専門的知識は全然ない私ですが、3秒で折り畳めて電車にだって持ち込める「ピクニカ」や、乗るためではなく乗りこなすための「ロデオ」という自転車に、大変興味を抱いてしまいました。住居と勤務地が近ければ自転車通勤もアリかな…と考えてしまいますし、体力的に行けるところまで行って、折り畳んで電車に乗込んでしまうのもいいかもしれません(空いていれば)。

 企業とタイアップしたカタログ的なコミックや、アスリートを主人公としたものは数多くあります。しかし、日常の足として用いられる自転車であっても、今まで無為に見過ごしてきた価値に目を向けさせてくれる手法を好ましく受け止めています。

 エピソードを語るためのアイテムとして登場する自転車ですが、登場人物のようにサドルに腰掛けてみたい!、と思わせるのは作者の人間を見詰めるモノサシの高さなのでしょうね。子供がミニ四駆にチューンナップを加えるように、私も自転車に改造を加えてしまいそうです。

ISBN:4785920025 コミック 宮尾 岳 少年画報社 2000/06 ¥520
■2005.05.10 

 行ってきました、1/1ボトムズ展覧会。

 どのアングルから見上げても、様になっているのにまず驚かされる。薄らと赤錆びたボディは、まるで古戦場に放置された戦車のようである。重量感ある外見と儚さが同居するという感慨深げな想像をしてしまう。

 作者のBLOGを拝見すると製作過程がレポートされており、切って叩いて溶接する過程に思わず「ほぉ!」とのめり込んでしまう。更に実物を見た今ならば感動はひとしおである。重厚な装甲にはマシンガンを腰溜めに撃っても貫通しそうもない。こんなでかい(成人男子の平均の3倍くらい)バケモノがローラーダッシュしてきたら、都市の一つや二つ、制圧されそうな圧倒感がありそうである。

 なんかもうね、空想してしまうのですよ。土埃が似合う巨大ロボットで、打ち破れて廃墟に鎮座してそうなものなんて、ボトムズ以外あるまい!

■作者:倉田光吾郎氏のBLOGはコチラ。
http://monkeyfarm.cocolog-nifty.com/

ISBN:4901873466 − 倉田 光吾郎 インフォバーン 2005/05/20 ¥2,100 タタキツクルコト 1/1スコープドッグ制作日誌
 この作品に収録されている短編の一つ、「しあわせは子猫のかたち」が最も好み。ほのぼのと、じんわりと優しさが伝わってくるんだよね…。

■「失われる物語」
 映像化が難しそう。唐突の事故で右手首辺りの神経以外反応しなくなってしまった主人公と、その妻のお話。暗闇の中で主人公が下した決断に至る、細やかな心理描写に唸らされます。

■「手を握る泥棒の物語」
 シチュエーション限定型作品がお得意なのだなぁ、と気付かされる奇妙な泥棒のお話。一人称と二人称のみで構成される、お互い顔の見えない交渉。なるほど、「世にも奇妙な〜」等でもういちど演じなおしてほしいかも。

■「しあわせは子猫のかたち」
 幽霊と同居する事になった遁世青年のお話。前の住人の何気ない習慣とか、趣味とか、笑みがこぼれます。きっとカメラとラーメンたべたいよぅ病にかかるでしょうね(^^

 多芸な著者の、才能の一つを見せてくれる本作。センシティヴな内容から、見た目のグロテスク、天然系を装ったおばか路線まで、脳味噌の切り替えが鮮やかで読んでいて飽きません。

 そんなわけで、ただいま著者の作品制覇に挑んでます…。

ISBN:4048735004 単行本 乙一 角川書店 2003/12 ¥1,575
月イチ連載状態な煎餅です。

別天 荒人氏著、「ガールフレンド」。

 かなり前に読んだコミックですが、第2巻が発売されたので記憶からアーカイブ。いまどき風の世情を織り込んであるので、自分が中高生だったころと比べてノスタルジィに浸るもよし。はたまた刹那的感情に支配されるもよし。

 このシナリオライタが現代の高校生風俗を代表しているわけではないだろうけど、ある程度他の世代に理解させられるほど汲み取っているように思えます。10年前とかなら絶対成立しないようなシチュエーション、かと云って誇張と扇動に塗れているようにも感じられない。身体は大きくなっても、高校くらいだとオトコはオンナノコに頭が上がらないのかも(なんていまさら)。

 本棚の目に付くところに置かれる期間は限られているかもしれないけれど、「今っぽさ」に触れられる良書です。蛇足のようで作者に申し訳ないけれど、この作者だからこそのシナリオの再現性も秀逸!

 第2巻以降の、キャラ使い捨てではない「深く掘り下げる」方針になったことには大賛成。勝ち負けじゃないよ、お姉さん。

ISBN:4088766237 コミック 別天 荒人 集英社 2004/06/18 ¥620
今日のできごつ。

■映画「雲のむこう、約束の場所」
□DVD発売、2005/02/17(木)。¥4,935。

 もう、発売しちゃうのですね!まだ上映中なのに公表するのも珍しいかも。もしかして、映画館上映はプロモ的扱いなのだろーか?とりあえず嬉し。
http://www.cwfilms.jp/

■ムック「アルクPinkyファンタブック」
 オマケのネコモードの出来が良い。本体は…及第点。大量生産品のアラがやや出てしまっている感がありますが…少々のバリはデザインナイフで削っちゃいましょう♪悪戯を企んでそうな表情も、一風変わっていてこれはこれでおっけ。

 店頭でこれから購入される方は、右頬下のバリ跡を確認した方がいいかも。個体差が結構あるみたいです。

ISBN:4776799952 単行本 宙出版 2004/12/15 ¥1,680
柔らかな表現。
時間と共にずしりと存在感を増す、鉛のような読後感。

余白に目を逸らすとかえって想像してしまって怖い。
墓石に彫られた「昭和20年」がとぐろを巻いて胸を締め付ける。

「死ねばいい」と誰かに思いを込められ、中性子を詰め込まれた爆弾。
幸せになってはいけないのだ、という罪悪感。ねっとりと腐敗する直前のおばさんの死体を、冷静に選んで下駄を抜き取って履いたあの日。

世代を重ねて平成の世になっても。忘れたい記憶は塩基配列に書き込まれ。小学校から帰って家のドアを開けると、母がまっくろな血を吐いて倒れていた。

統計的な死亡者数からは見えない、昔、夏の日に時間を過ごしたことがあるという共通点を持つ人たち。それぞれのキャンバスを色とりどりに描かれた記憶たち。

なぜ、不思議と頬に涙をつたわせながら。何度も何度も読み返してしまうのだろう。そんな一冊。

■「夕凪の街 桜の国」、こうの史代著

ISBN:4575297445 単行本 こうの 史代 双葉社 2004/10 ¥840

◆朗読劇…?◆

2004年12月12日 読書
いろいろ話題になってる「電車男」。

田舎の両親まで存在を知っててオドロキ。
(どんな点が盛り上がってるのかは知らないだろうけど)

そんななか。すげー観に行きたいのですけど…。↓

■朗読劇「電車男」
http://www.sanspo.com/info/041210train_man.html

過去日記。
http://diarynote.jp/d/15163/20040614.html

ISBN:4104715018 単行本(ソフトカバー) 中野 独人 新潮社 2004/10/22 ¥1,365
「スポーツに幻想を重ねて捉えてしまうのは何故だろう?」

 ひょんに、疑問が思い浮かぶ。私が不思議に思う幻想とは、マスコミに登場する紳士淑女な態度な競技者自の姿である。畏まり過ぎて、レンタルキャットみたいだなぁ、と訝(いぶか)しんでしまうこともあり。

 長年疑問のまま、脳漿の奥に凍結されていましたが、この作品を読んで一気に解凍され記憶にあふれ出しました。

■小説「銀盤カレイドスコープ Vol.1」、海原零氏著

 若手フィギュアスケータの主人公が、ライバルと競い、また世間の評判と抗う、本能むき出しな物語。一応断わっておくと、何の予備知識の無い読者をフィギュアスケートの世界に惹きこみ、高揚と共に一体感を得る、大変魅力的なストーリィ展開です。

 …が、冬季オリンピックなどで垣間見る大和撫子調な態度ではなく、自我一尊絶対視なよーなスバラシイ主人公なのです。有体の世間常識といつも衝突し、口論になってしまう有様。

 「スポーツマンはかくあるべし」論の矛盾を指摘し、協会関係者やマスコミを敵に回していく様は、もーどうなっちゃうのだろーと心配絶えません!(でも楽しい!)。健全な肉体に健全な精神が宿るかどうかは証明できませんが、世間の都合のいい方向に性格が向かっているかは、また別の話。こういう妄信を破壊してくれるモラルハザード的ストーリィは、胸がすっきりしますね♪

 ライトノベルなので行き来の電車内で読みきれる分量なのもいいところっ。

ISBN:4086301326 文庫 海原 零 集英社 2003/06 ¥600

◆30GIRL.COM◆

2004年11月28日 読書
今日は簡易版。

■岩崎つばさ著、「30GIRL.COM」

 (株)日立空間空調システムのイメージキャラクタ…らしいのですが、よくぞ広報が許した!、と云える程自由闊達に動き回ります。お風呂湯沸かし器やIHの宣伝はそこそこに、どたばたストーリィが展開していきます。

 局地的にせよ、優等生を演じて、若い女性層をターゲットにした企業キャラクタばかりの状況に一石を投じた話題作(問題作ではない…と思います)。発端はネット掲示板から火がついたものかもしれませんが、結果として以外に親しみを覚えてしまうのです。その他大勢の凡弱な企業キャラクタより、認知度は圧倒的に上に位置されてしまいます。

 どたばたを許容した企業の懐と、もしかしたら…マスマーケティングに対抗した草の根マーケティング、そんな計算にも乾杯。

 あ、コミック自体もなかなか好みですよ(しっかりフォロー)。ポスター調のデジタル作画も馴染んだ技術となりました。

■日立空調システム「オイダキドットコム」
http://www.oidaki.com/
■30GIRL.COM
http://www.30girl.com/top.html

ISBN:4575939080 コミック 岩崎 つばさ 双葉社 2004/09/28 ¥700

◆紙束の森。◆

2004年11月25日 読書
「とりとめもない」種類のお話をしよう。

 漫画喫茶に行く機会があるとします。手軽にコミックを読み漁るため、終電に乗り逃がしたため…。積極的か消極的理由なのかはそれぞれでしょう。けれど入った以上は何らかの目的を持って時間を過ごすのではないでしょうか。

 この種の「コンテンツのリユース」型レンタル(?)にユーザが期待するものって、何でしょう?

(1)個人では所有が難しい蔵書量を一時利用できること
(2)絶版本(蔵書してるかどうか…?)を読むため
(3)所有欲は薄いが、試し読み需要に応えるため

 リサーチ不足で選択肢をあまり模索できていませんが、大別して積極理由の大半はこのような理由ではないでしょうか。ユーザの利用頻度の高いアイテムを常に取り入れる必要が有るため、維持管理にそれなりに気を使うビジネスなのかもしれません。

 個人的には(3)に漸近していますが、「買うほどでもないけど、読んだときの時間を楽しみたいアイテム」を漫画喫茶に期待しています。論点ぶれまくり。

↓そんな時の代表的なもの。漫画喫茶にあまり置いていないっぽい感じ。
ISBN:4087825760 コミック 木城 ゆきと 集英社 1998/12 ¥2,625

■オマケ
「銃夢、ジェームズ・キャメロンが映画化!?」
http://eiga.com/buzz/041123/04.shtml
「アキバ専用服」。

 群れの中での差異化という意味なのでしょうか。一般的に、あくまで一般的に、被服のセンス度合いが抑え目な地域というのは確かにあります。田舎だと店も無ければ情報が届くのも遅いため、個の多様性は発露されません。伝統的(?)に「不良になること=カッコいい」ベクトルを突き進む傾向が見られます。

 では情報もアイテムも溢れる都会ではどうか、というと必ずしも服飾センスがボトムアップされているとは言い切れません。千代田区の元市場(いちば)跡では、まるで地理的に切り離されたかの様に文化の流入を拒み続ける地域があるのです…。

 その地の住民がその地に留まる限りには、関心には上がりません。しかし、他の地域に交易を行うために外出すると、アレレ?と周りを見て気付くものがあるようなのです…。稼いだお金を叩いて、被服を1セット購入して帰って行く現象が観察されます。

 この現象で興味深いのは、

・勝負服であること
・1セットであること


そのような共通項が見受けられます。ただ、交易に出たキャラバン隊の中で被服に目覚めて帰還するのは、まだまだ限られているようですが。

 投資対象を限定していること、優先順位を低く位置づけていることもあり、目覚めた人物であっても1セットで抑えているのでありましょう。そうはいっても覚醒した彼等は、同族と一味違うこと自意識でアピールすることに気付いてしまったため、勝負服として身に纏い、千代田区の盆地に戻っていくのではないでしょうか…。

 抽象的な分析は置いといて。

「近くのゲーセンで休憩(ワンプレイ)」という部分が興味深いなぁと感じてしまいました。考えるに、ゲーセンというのはかの地の櫓か出城な役割であるのかもしれませんね。

 敵地でも自分を見失わなかった斑目(まだらめ)さんは勝ち。着せ替え人形になって帰ってきた荻上さんは負け。わっかりやすいなぁ。

ISBN:4063211649 コミック 木尾 士目 講談社 2004/11/22 ¥530
■2004.11.20 (前編)

映画「雲の向こう、約束の場所〜The place promised in our early days〜」、視聴

 初日記念で観に行ってきました@渋谷シネマライズ。直前まで出張だったので、間に合うかどうかドキドキしながら新幹線から乗り換え&直行。渋谷改札からダッシュ!

 都市って、秋色になるまえにクリスマスになってしまうということを実感するのも、この中途半端な時期ならでは。夜、ネオン立ち並び、クリスマスツリー立ち並ぶ歩道を軽い駆け足で通り抜ける。星型な電飾の残像を横目に掠めながら、人群れを掻き分け劇場に滑り込み。

 肩で息をしながらクリスマスムードの街を走り抜けるなんて、槇原敬之の控えめなテンポの歌詞にありそうだなぁ、なんて類想してみたりする。銀行の前でアマチュアバンドがギターをかき鳴らしているのも雰囲気を盛り上げてます。

 銀幕前の席に腰を下ろすと、今まさに製作陣が舞台袖に上がろうとするところっ!新海監督、サウンド担当の天門氏、などなど、尊顔を拝見できるとはっ。2年間を注ぎ込んだ作品について、深々と語ってくださいました。
ISBN:4063612864 コミック 桜場 コハル 講談社 2004/11/05 ¥540

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モナリザより激しい微笑みポイント、その1。
「電卓になってアメリカに行けばいいのかな」

ほっこり。
気の抜けたコーラみたいな読み口なのに、ページを捲る度に頬が緩んでくるのは何ゆえか?

【特徴整理。】

■(1)通常モードとリアルモードの落差によって、一気に日常から非日常に突き落としてくれるのも前著からのお得意技。

■(2)パステルカラーのエロス(NOT SEXY)とのほほんムードが共存してるのが絵にハレとケをより際立たせている。

■(3)
長女:常識人。観客役
次女:アトミックボム・ガール。ボケ役
三女:チビ太のおでん。突っ込み役

基本はこの役回りなのだけど、たまに長女と三女からキラーパスが回ってきたりして不覚を何度も味わってます(^^;

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