◆終劇する風景(映画FF雑感)。◆
2001年10月5日▼やっぱりさっぱり二番煎じな法則。
「個々人の評価を統計処理して均されたデータ」は個人にとって有意なデータとは為り得ないようです。
↑客観的な基準を処理するのなら有意。
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映画FinalFantasyを見に行ってきました。
今更、という感は拭い去れない時期です。実際、ニュースに有ったとおりスクウェア・ピクチャーズはその複数形を形として果たせぬまま撤退する意向。損失もコアビジネスのゲーム事業の足を大きく引っ張るほど(少なくとも100億円以上)になる予定です。配給収益は米:30億円、日:9億円(fromオリコンデータ)と、DVD等による資金回収を考慮しても、「誰かがクビになる」程度では済まないでしょう。
本題に戻りませう。新宿のコマ劇シアターで見てきました。日本での公開も本日で最終日。その最終回(19;05〜)に入場したわけで、まさしく映画FFとスクウェアピクチャーズと、映画監督坂口氏の幕引きという性質を帯びた視聴となってしまいました。
とりあえず、外野のノイズは一時廃して映画に集中。序盤は主人公アキの夢見とストーリーの舞台となるバリアシティとの境界がわかりづらくて少し混乱。なにも前提知識が与えられないままに仮想と現実を行き来されても・・・、と。この理由はフルCGの、どちらも未来かつSF世界なので、私たちが生活する世界の事物との接点がないことが大きく影響していると思われます。
中盤は・・・あまり記憶に残っていません。ストーリー・テリングよりCGの質感や音声などの技巧に注力してしまっていたので。「豊かな表情の演技の合間の、突然のっぺりした顔があるのが残念」とのコメントをINPUTしていたのを思い出しました。しかし私が日本人(もしくは坂口監督が日本人であること)が所感を左右したのか、ときおり見え隠れする能面のようなのっぺり感にも機微を自然と読み取ることができました。海外の評論家には、歌舞伎の文法は理解の範囲に入っていないだけかもしれません。
また、バイオレンスな人体の動きがあまり劇中ではありません。これはCGをグリグリ動かして欲しい!、という個人的な欲求からすればややフラストレーションの溜まるものでありました。そのぶん、英語の声優さんの演技はなかなか聞き甲斐のあるものでした。ストーリーの原作・監督が日本人を起源に大きく持ち、そこから出力されたものが脚本家によって英語にエンコードされ、また更に戸田奈津子氏によって字幕の日本語にデコードされる。この一見不合理な作業は、恐らく、私たちにメリットがあることと言えるでしょう。声優さんの丁寧な演技力と相まって、英語が聞きやすいのです。簡易な口語文法なので、耳に入れば字幕を見なくても理解しやすいのです。耳で聞ければそのぶん目は綺麗な映像を楽しめますし、意味の確認のためにチラリと字幕に目を移せば、映像鑑賞のロスは最小限に抑えられます。思わぬメリットでした。
しかし、私には明らかな不満点も見えてきました。ゲーム畑出身の監督、というのがマイナス面に作用しています。ゲーム中でAからB地点に進むためにA’、B’という鍵が必要になる、という課題が提示されるのは良くあることです。しかし、得てしてそれらは「ただの作業としての障害」とプレイヤーに認識されることが有ります。この同罪を劇中に再現させてしまったのです。ファントムというエイリアンの襲撃から逃れるために飛行艇を飛ばすのですが、その燃料を得るためとロックを外すために、と一々作業と受け取れる描写があるのです。これには15%ほど高揚感が減退してしまいました。更にその作業のために3人のチームパートナーを失う、という体たらくがなんとまた。盛り上げるために必要なイベントだった、との意向があるとは考えられますが、3人も連続して失わせるのは少々安易ではないか、と。「FFとはこういうものなのでしょうか」、と聞かれたら2回「YES」と答えねばならなくなりました。
映画も佳境に到達しました。「ガイア理論」なるものをベースとしたメッセージ性の強いテーマが、感動と共に押し寄せます。ゼウス砲という絶大な兵器で脅威を取り除こうとする、復習を伴った、正義。正反対のベクトルを作用させて打ち消しあおう、とする、今にも消えそうな、正義。立場の正義の衝突というか、すれ違い。最後グレイが***を選ぶところなんて、感涙モノです。私も人間なので最後に受け取った印象が全体の印象を左右してしまいます♪
あ〜、なかなか良かった〜〜。エンドロールで監督の名前がスクロールしてきたときに、ささやかにですが、拍手を送っておきました。エンディング・テーマを聞きながら余韻に浸っていると、英語の歌のあとにラルクの余韻を打ち壊す刺々しいイントロが。これには50%失望。ゴジラのときもそういえばラルクだったような。ムリして日本向けにローカライズしようなんて考えなくてもいいです>坂口監督。
・・・と、さて。世間では評価は低いようですが、私はDVD化(恐らく早めのリリースとなるでしょう)のあかつきには5800円までなら出します。マネーという客観的な基準でとりあえずモノ見ます。それ以外の評点では他の人とは価値観は共有できないでしょうから。
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休み明けあたりに、個人的には良いであろうニュースが具現する予定。意味も価値も私にしかないので、これこそ“私信”。
Show the Flagの話も書こう、と思ったけど、リウイチ氏(リンク)が既に適切なコメントしているので割愛。ではでは。
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