◆カタコリ/そこに君がいた/辻。◆
2002年7月8日いつも挨拶が「お疲れ〜!」なのはどうかと思うよ、君。
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今日も簡単に。
辻仁成「そこに君がいた」、読了。
な・つ・か・し〜〜!!ってのが第一印象。昨年は「冷静と情熱の間」がヒットしたと聞きます。しかし、自分の中で辻仁成といえばコノ作品なのです。昔々、福武書店(現ベネッセ・コーポレーション)の雑誌で連載していたエッセイをまとめたものだからです。
“子供時代”と口に出来る人はそれの時代を通り過ぎた人でありましょう。と、同時に懐かしむことが出来るくらいに醸成されていることと思います。作者の辻氏とは20年近くの年齢の差があるのですが、氏の経験が自分のそれにオーバーラップして、鮮明な映像を描き出すのです。
そんなガキ大将時代〜青年時代をドキュメントする作品のなかでも、とりわけ記憶に濃く残っていたのは「まかないの食事」、という最も地味なものでした。辻氏のアルバイト生活時代、ジーパン(否、ジーンズ)屋さんでの“まかない”の食事が先輩アルバイターに横取りされてしまう、という話。こんな単純な話であるのに、色あせたダンガリーシャツを着て、うつむき加減に一口かじられたコロッケを見つめる、……という情景が印象に残る…。
夢破れてコロッケを筆者に託したその気持ち…。しんしんと胸に染みます。
私的価値880円。思い出の値段。捜し求めていた値段。あとは絶版になってしまったアノ作品を手に出来れば、完璧なのですが。
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