「とくとくと…」(最近のお気に入り効果音)


今日の表参道は特別だ。街行く人も、空気の軽やかさも、普通の陽気ではない。ビルに跳ね返された風達がTシャツの裾を揺らすころ、国連大学のそばを抜け、地下へ降りるエスカレータに身を委ねる。眼前に迫るは一枚の立て札。

“森博嗣&コジマケン 名詞交換会”

既に卒倒しそうであった。羞恥を逸らそうとバイザや時計に視線を移動させるも、電池切れで息を潜めているGショックの亡骸を目に出来るだけ。おぉ、主人より先に昇華してしまったか。黄身の寿命は数十分前に潰えていたのだな。

ムラと無駄だらけの一人ツッコミを演じている間にふらふらと青山ブックセンタの本の谷間に逃げていく。何をやっている。先週も来たばかりではないか。このギャラリィに並んでいる本は全て読み終えたはずではないか。そんなに目と指が寂しいのか?

ふぅ。ひといき深呼吸しよう。すぅふぅ。そうそう、その調子。まわりを見渡してごらん。今日のために、同じ目的のために集まってきた人達がこんなにもいるではないか。そうさ、やっと落ち着いてきたかい。もっと雰囲気から楽しもうじゃないか。

皇なつき氏の描いた小鳥遊練無の絵でも見ていろって。何を話すか決めたのかい?コジマケン氏なりの「奥様はネットワーカ」の解釈は理解できたかい?ほらほら、やることは色々あるだろう。

すぅーーーーー。

よし。もう大丈夫。いつも通り。順番を待つ時間を意識できるくらい冷静さ。ん?そろそろ順番が来たみたいだ。列に並ぶとしよう。

あら、近づいてきた。これから口に出すセリフを何度反芻すれば気が済むのだろう、私は。この方が本人か…。………来たっ!

…こんにちは、五円煎餅(仮名)と申します
「こんにちは、えぇ、初めてお会いしますよね?」
(ぐぁ、撃沈)は、はい。このような機会は初めてでして、慣れておりませんで…。
「はは、何人かいますよ、会社の名刺の方も。○△◇ですか、前のほうに◎▼☆もいますよ」
(既に敗北度120%)いや、まあ、その(意味不明な吐露)。(切り替えっ!)私、読書をしていて、気になったフレーズがあるページの端に折り目をつけることにしているのです。先日出た「君の夢、僕の思考」の60の引用を統計とってみたのですが、折り目が多かった上位の5作品で、25を占めているのですよ。
「あぁ、それはあるかもしれませんね。」
(大感激で御座います♪)

…もう、このあと何を喋ったことやら…。覚えているけど森氏に苦笑されるアメージング・トークでありました(笑)。

やったぜよ。名刺いただきましたぜよ(←いつから坂本竜馬??)。これぞ原初の感想やな。えぇ、いいのです。仕方ないのです。こんなご褒美で私は満足感を得てしまうような人間なのです。にこにこ(内向的歓喜の笑み)。

しかし、当の森氏から観察すれば、動物園のパンダにさせられたような印象なのだろうな。順番待ちで、見知らぬ人と会話させられて、写真撮られて、傅かれて。ビジネスライクとはいうものの…顔と名前をキーに何度目の来訪客か記憶を呼び出すことのできる才能にも脱帽します。

総評:作家との距離が近づいた気がするイベントでした、とさ。


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