◆2つの半月、六本木ヒルズ。◆
2003年6月3日2003.06.03
■ぶらり、六本木ヒルズ
来訪ありて、いきなり、何故か、定時で(!)、六本木ヒルズへ。ほんの僅かな知識しか持ち合わせておらず、チト不安(ティトーなら安心?)。私が知っていたのはヴァージンシネマズで『マトリクス リローデッド』の出演者が来てプレミア試写会を行ったことと、TSUTAYAの会長が桐箱からヒルズ用のブランドロゴを取り出し、出店を認めさせたこと、くらい。ですので「ヒルズって何するところ?」な印象です。
到着してまず第一印象、「街並み全体が非日常空間」。まるで美術館の静物のような建造物に見えるのです。その上、現代アートのオブジェ(これも静物か)が至るところに置かれており、自分の居る場所が美術館の内なのか外なのか、錯覚しそうになります。まるで「笑わない数学者」(森博嗣著)の天動説トリックを模しているかの様です。想像するにコンペティションを経たデザインが『額縁』としての外観を型取っているのでしょう。ヒルズ外の東京タワーのネオンでさえオブジェにしてしまっているのですから。曰くハコ物は大変魅力的ですね!
ではコンテンツはどうでしょうか。案内マップから見るに、この文化都市の中核を意味するのはTVアサヒ。その大木に寄り添うようにして、多くのテナントを抱える森ビル、庭園などが林立しています。このように外郭のコンセプトは完成度が高いのですが……入居しているテナントに通り一辺倒な印象しか受けないのです。良くあるブランド、時流を反映した小洒落たショップをそのまま移植したかのような、ありきたりの風景が眼前に広がっています。時勢・世間で認められた店、悪く云えばメディアからの反射だけで、そこからの発信がない、ハッとさせられる鮮やかさがないように感じてしまうのです。太陽光を照らし返す月が美しくないとは云いませんが、建造物のオブジェが織りなす輝きに比べるとどうしても色あせて見えます。
都市は生き物。体細胞は代謝し、入れ替わる。一つの半月の輝きに引かれて、もう一方の半月も輝きを増すでしょう。それとも片方の輝きが増すごとに、深く大人の色を濃くしていくのも良いかもしれません。さてさて、お任せしましょう。
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