2003.06.10
■デザインとバランス。
「持ちたるに過ぎたるもの」という諺がある。かつて石田光成に過ぎたるものが2つ、島左近と佐和山城がある、などと揶揄されるほど本体に比べて立派すぎるものと語られることがあった。史実は覆らぬものの、事実がどのようであったかは永遠の封印となった。とにもかくにも五奉行文官の筆頭だった光成には、2つの武の威光は過大なものであった、と現在では解釈されている。

唐突だが400と3年、時間を飛び越す。携帯通信業界最王手、NTTドコモはi-mode端末最新機種として『505』シリーズを発表した。パソコンでお馴染みのマクロメディアフラッシュなど、新たな機能を付け加えたが、その中でも最も特徴的なものとして『メガピクセルデジカメ』がある。ストロボやマクロ(ズーム)を除けば、そのままデジカメとして遜色ない機能が携帯電話に搭載されている。

…このように次世代的な展望を感じさせるにも関わらず、そこはかとなく不安を覚えてしまう。不安は個々人の着目すべき点に拠ると思うが、私には『過渡期のラインナップ』に映るのだ。

 以前この場所で「最大のコンテンツは友人だ」、「IPに他の機能が結びつく」と記した。その考えは今も変わらない。この二項だけを取り上げて見ても、全てを繋ぐはずのIPインフラの貧弱さが足を引っ張っているのが分かる。音声通話でも(圧縮技術によりだいぶマシになってきたとはいえ)品質は悪い上に、データ通信の速度は9600bps、と需要を満たすには程遠い(とても100万画素クラスのデータは送れない)。デジカメ画像や表現力のあるフラッシュムービーは、充分に力を発揮できない恐れがあるのだ(とは云え、FOMA規格では広域の通話そのものが使える代物ではないと聞く、まだ今は)。

 デジカメを鞄に入れて持ち歩くのは意図的で気軽ではない。けれどケータイに付随しているのなら気軽にスナップできる(思えばスナップ需要も開拓したわけだ)。CLIEの30万画素デジカメも楽しめているので、あればいいかも…とは想像できる。ただ、前述の通り、転送速度に比べて過剰なスペックなので、フルサイズで撮影した場合はメモリスティックでPCに移行する必要が出てくる、とのこと。なんだかこの辺、中途半端ですね。それぞれの機能は個性を発揮しているのに、製品としてのバランスがイマイチ。

 さてさて、どうしたものか。でもでもでもっ!、SO505iのブルーに相当惹かれてます…。バランスは悪いけれど、高潔な外見のデザインに負けそうです。うむむ。


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