DVD ソフィア・コッポラ監督が、自らの来日での経験を生かして書き上げた本作で、第76回アカデミー賞脚本賞を受賞。CMを撮るために来日したハリウッドのアクション・スターと、ミュージシャンの夫に同行するも、ホテルに取り残されたアメリカ人女性が、たがいの気持ちを理解し合う。ただそれだけの物語だが、東京のカルチャーが外国人旅行者の…

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■2004.05.04 異国情緒は孤独から。

映画『Lost in Translation』、視聴。

 アカデミー脚本賞を受賞していたり、話題になっていたので気になっておりました(うずうず)。チケットを購入したあと(思い付き)調べて見たところ、『Virsin Suiside』と同じ監督であるご様子。DVD購入したにも関わらず、3度以上繰り返して観ていない唯一の作品、…と云う個人的位置付け。元より感性の差異は認めつつも、「お金出してフラストレーション溜めるのもなぁ」と若干、そして一抹の不安を覚えます。さてさて…。

 まだ渋谷シネライズ単館でしか上映していないので、仕方無く(!?)並ぶ。狭くてお洒落な、そして壁が薄くて騒音と光が漏れ射すのは苦手なのですが…。ただ、こじんまりとした劇場ならではの観客の一体感まで否定できるものではありません。劇場中どっと笑ったり、そうかと云えば騒がしかったのが嘘のように、しんみりと無音で表情を示したり…。都心の映画館に求める種類の情緒ではないかもですが。

 作品のタイトルについて。視聴前と後で解釈を大きく変えさせられました。「翻訳できない、って何?」、…いきなりそんな事突きつけられても困るなぁ、が当初の感想。だがしかし!単純な異文化理解不能症候群から、異国での寂しさと所在無さを描く流れへ彩りを変えて行きます。欝屈したフラストレーションを溜めて行き、二人の主人公はホテルの一室で、バーで、それぞれ閉じ隠るようになります。一緒に来日した彼氏は昼は仕事夜は疲れてぐったり。もう一人は母国の妻に電話して縋ろうとするが、もはや妻の関心は子供に向いてばかり。

「外国に来て体験する喪失感」

ダブルネーミングだったのですね。日本人だって、初めて乗る東京の地下鉄や京都のバス路線に戸惑いを感じるでしょう。一人旅では自分の内面と向き合う機会が増えるものです…。

 そのようなときに、心に空洞を抱えた者同士が寄り添い合おうとするのは、或る種自然の摂理かもしれません。肉体関係は持たずとも、バーで独り言に耳を傾け合い、一緒に深夜番組を観ないかと誘ったり、また街の中に飛び出して共に騒ぎ尽くす…。どっと遊び疲れてホテルの部屋まで運び、「おやすみ」と声を掛けたときに交差する視線。この二人の間には何か確かな物が生まれた、それはどのような親密感だったのかと想像してしまいます。

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2004/05/17追記。

 総括。この物語は突飛な展開があるわけでもなく、かといって破綻があるわけでもない。幼子がデパートで迷子になって、わんわん泣いていたところを受付のお姉さんに目線を合わせて「どうしたの?」、と笑顔で微笑みかけられる時。その時のほっと安心して号泣してしまうときのような安心感がメイン・コンセプトなのだと思います。

 西新宿の電気街でぎゅ、っと抱きつく。大人の安堵はお洒落に、スマートでありました。ちゃんちゃん♪

 ちなみに副読本として、インタビュー雑誌「CUT」がパンフレットよりお勧め。

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